漫画村だけが悪いのか? この問題はニーズに応えない限り解決しない。

ここ最近、一悶着起きている漫画村事件について書きたいと思う。




漫画村は悪い!

誤解のないように初めに書くが、漫画村は著作権を無視して他人のコンテンツを無断配信しているので法律違反である事は明々白々。そんな事は100も承知だが、漫画村を潰せば解決なのか、そもそもなぜ漫画村が流行ったのか、という事に注目しなければならない。今回はそこを焦点にして書く。


無料だから読むのか? 重要なのはニーズに対応する迅速さ。

漫画村は無料だ。漫画村で漫画を読む人々は無料だから読んでいたのだろうか? それもあるがそれだけではないはずだ。理由は簡単でスマホでサクッとアクセスして隙間時間に読めるからだろう。例えば、本屋で漫画村にある本を全て無料にした場合、漫画村へのアクセスは激減しただろうか? 手元に漫画一冊ほどの重さで何万冊と収納できる端末を持っていながら本屋でもらった漫画を通勤カバンや学生カバンに詰め込んで移動時間や休み時間に取り出して読むのだろうか?

人は値段と快適さで物を選ぶ。快適さとは今回で言えば媒体、インターフェース、アクセス環境などだ。日本の出版社はデジタル媒体への参入に消極的だが、ユーザーとしてはデジタル配信の方がありがたい。ユーザーの求めるものを提供できなければ提供してくれるサービスへ行くだけの話だ。絵がメインで1シリーズあたりの巻数が多い漫画はなおさらデジタルの恩恵がある。逆に、小説などの活字メインはいまだに紙媒体でも売れている。それは年齢層がスマホを苦手とする世代であったり、紙で読むのが好きだったり、紙の本を持つ事に知的優越感を抱きたいためなどといった理由で、ユーザーが紙媒体を求めているからに他ならない。

例えば、漫画村をはじめとするネットの違法漫画サイトが現れる前に公式が有料でもいいので同等のプラットフォーム(出版社に関係なく買える環境)で発売していたら状況は変わっていたはずだ。2012年から日本でもKindleストアが登場したが、日本の出版社は消極的な立場を取っていた。今でこそKindleで買える漫画が増えたが時すでに遅し、すでにニーズは読み放題の時代への移行しつつある。


読み放題に消極的な出版社に未来なし!

これからは読み放題のサービスが主流になるだろうが、日本の出版社はこれまた消極的である。Kindleの読み放題プランも多くの漫画が対象外だ。この「〜放題」。映像業界、音楽業界では主流になりつつある。Netflix、Amazonビデオ、Apple musicなどがそれだ。正直、どのコンテンツもネットを探せば無料で見聞きできる事実がある。だがNetflixの業績は絶好調だし、Apple musicの登録者も右肩上がりだ。Amazonビデオもプライムサービスの一機能として好調である。なぜコピーされ無料で見聞きできるのにそちらにユーザーが行かないのか? これもやはり値段と快適さだろう。値段では違法サイトに負けるが、それを埋めてなお有り余る快適さがあるので有料でもサービスを利用するのだ。

漫画から少しずれるが、アニメ系違法サイトの存在も目立つ。だがそれも漫画村と同様の流行理由だろう。NetflixやAmazonビデオはアニメも充実しているが、海外のユーザーは視聴できない作品が殆どだ。海外ユーザーからしてみれば英語字幕付きで提供してくれるサービスがあればそちらに行くのは当然の事だろう。

海外でのアニメ人気に気がついてはいるが、権利の問題がどうのと内輪で消極的行動をとっている間にユーザーのニーズに応えるサイトが非公式で登場し、得られるはずの利益をみすみす逃しているのである。


読み放題は作者の利益が減る?

作者の立場に立てば「〜放題」では収益が減るというデーターもあるようだ。ただ、後でも書くが個人で作品を売れる今の時代、従来であれば出版されず見てもらえなかった作品でも「〜放題」によって偶然読んでもらえ(音楽では聴いてもらえ)それによって収益が得られるという側面もある。「この本を読んだ人はこの本も読んでいます」と言ったニュアンスのオススメを見た事があるだろう。そのようにして従来では無かったヒット経路の可能性も増えているのである。

「デジタルで売れない」「ネットは無断コピーされて売れない」と言っているのは今まで売れてきた作者や出版社の時代錯誤の戯言だ。今まで売れてない作者にはとってはデジタル化は間口を広げるチャンスなのである。


漫画家希望者は出版社に頼るな!

最後に一言。正直このままでは日本の漫画に未来はない。それは漫画といえどもその出版社は古株で、時代に取り残され、取り残された事にすら気がつけない連中だからだ。そんな連中は挑戦的に行動しない。そして利益を逃すのがお決まりのパターンだ。直近ではiPhoneのヒットがそうだろう。「あんなものヒットしない」とユーザーのニーズを予測できず出遅れた。携帯電話とインターネットを初めて一緒にしたのはdocomo(iモード)なのにあの体たらくだ。皮肉にも同じ「i」に取って代わられたのだ。音楽のiPodもそうだ。「誰がネットで音楽をきくか」と言っているうちにCD市場はデジタル配信がメインになった。あの東芝のフラッシュメモリー事業もそうだ。「こんなもの流行るか」と思っているうちにスマートフォンの普及などでニーズが爆発的に増えた。そこに目をつけていたサムスンの成長はご存知の通りである。

話を元に戻す。どんなに素晴らしい作品も必要とするユーザーに届かなければ意味がない。私は写真が趣味で写真集をKindleで出版しているが当然自分で全て行なった。アメリカに税に関する書類を提出するなど一手間あるが、個人でも全世界に写真集を売る事ができる時代なのだ。漫画も同じである。Kindleは漫画向け制作ソフトも提供している。紙媒体の出版に憧れる人もいるだろうが、紙媒体は作品が大ヒットすれば出版社の方から紙媒体で売らないかと声がかかるだろう。重要なのはニーズに合わせる事だ。それは今の時代、個人でもできるのである。

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